
(協力:野中寿雄氏)
| Mr.ブラウン(ツムバッハ中佐) |
突き抜けるような青い空に向かって上昇を続ける。風防を通して、まるで鳥がふざけているかのように、飛行機が舞っているのが目に入ってくる。吸い込まれそうな、錯覚にとらわれる。一瞬、ヘッドホンに「攻撃する!つづけ。」という声が響き、つかのまの夢からもどされる。こんな場面に似あう戦闘機こそ、スピットファイアではないだろうか。そのスピットのエースを紹介しよう。彼は、1915年スイス系ポーランド人の子として、ワルシャワ近郊に生まれ、1936年ポーランド陸軍飛行学校に入る。ポーランド敗北後、フランス、そしてイギリスのパイロットとして活躍する。
戦後、エアタクシー会社を所有し、密輸などに手を染め、その後アフリカ各小国の空軍の創設(紛争に傭兵として働く)に従事する。この時に使った偽名がMr.ブラウンであり、波乱万丈の人生を送っている。彼は自伝「Mr.ブラウン」〈フジ出版・現在絶版)を出版しているので、頭の中に色々なシーンを思い浮かべながら、モデリングするのも楽しいと思う。
![]() |
| ドナルド・ダックと撃墜マークが誇らしげなヤン・E・L・ツムバッハ中佐のスピットファイアMk.Vb。マークは全て手描きで行ってみた。 |
| ツムバッハ中佐の乗機のマーキングについて |
彼の乗機について、航空ファン1981年8月号のモデリング・マニュアルを基にドナルドとBM144号機の関連を調べてみた。
<No.1:ふるえる棍棒を持ったドナルド>
PSL社のスピット、P.95のの飛行中の写真と、アルフレッド・プライスのスピットの本、P.115の写真で確認できる。機体は、左側にコックピット用エアインテイクがあり、撃墜数12・1/3機、撃破(黒十宇)5ケが判明する。コードレターのFの文字が、ラジオハッチに一部かかっている。飛行中の写真からシリアルNo.(胴体帯上部)はEN951。以下の機体とは別機である。時期は1942年12月頃。機首下にはスカイでD文字を、中隊笑右に飛行隊長マーク有りと判明。
<No.2:棍棒を持ったドナルド>
PSL社P.95−96、L`AVIATION No.113、P.115の写真で確認できる。撃墜数13ケ、撃破数5ケで、エアインテイクは無い。コードレターのRはドアにそって描かれ、Fもラジオハッチに沿っている。時期は1942年9月頃。シリアル宦i胴体帯上部)はEP594と判明。
<No.3:棍棒を下げた小さいドナルド>
L`AVIATION No.113、P.17にカラーで写っている。撃墜数11ケのみで撃破マークはない。エアインテイクもない。Rはドアより少し離れて描かれ、シリアル宦i胴体帯中央)はBM144。国籍マークは初期タイプと判明。
<No.4:No.2またはNo.3と思われる機体>
L`AVIATION No.113、P.15にJu88の垂直尾翼と共に写っている機体は、撃墜マークは11ヶ、撃破数もありそうだが、ドナルドは隠れており、Rはドアからはずれている。No.3の機体か? P.16には飛行中の写真がある。ドナルドはNo.2の様に見え、シリアルBM144が胴体に描かれている。また、航空ファン1974年9月号P.113にもJu88の垂直尾翼とともに写っている機体があり、撃墜11ヶまで、撃破も有りそうでドナルドもNo.3より大きく、位置からもNo.2に思える。まだ、すべての機体は、背の高いバックミラーを装備している。推測であるが、ドナルド、シリアル、全体等が確認できそうなものはNo.2の機体である。ちなみに、彼の公認撃墜数は12・1/3機である。

| ツムバッハ中佐の乗機の特徴について |
