雑誌 レプリカ1987年1月 Vo3.2 No.1(TACエディション刊)より転載 (協力:野中寿雄氏)

| スピットの会 |

スピットの会なる奇怪な集まりが出来てかれこれ1年が過ぎようとしている。スピットの連載も4回目となり、各バリエーションが紹介された。苦手なイギリス機のこと、楽なMk.5でお茶を濁してきたが、今度もMk.5で逃げ回っている。いつまで続くか分からないが、未だに各タイプが残っているので、気が向いたらエースの機体を捜して作って見ようと思っている。今回取り上げたのは有名なイアン・リチャード・グリード少佐の乗機で、マイクロ・デカールの1/32と1/72に有るが、最近ではハセガワの1/48のキットに入っている。小生が何時も作るときの課題として選定する条件は、まずエース乗機であること、次にパーソナルマークが有って、しかもそれが動物であれば、なお最高。いつもご指導下さる中田氏の、「地味な物をいかに良く見せるか」という技術には程遠いので、逆に派手なマーキングでごまかして粗さをカバーしている次第。今回はまたもや山下君(注:山下太一郎氏)と一緒で、二人ともLFタイプ。Mk.16は水滴風防を装備し、また機首が延びた分スマートで、シルバードープの渋い塗装と相まって、いぶし銀のごとく何とも言えない(同じ号に山下氏のMk.XVleが掲載)。小生は熱帯向けの塗装と装備なので、まるで醜いアヒルである。
キットはエアフィックスを使うが、再販されたことは喜ばしい。
| 資料 |
彼の機体(AB502号機)を調べるに当たり、写真が重要なので、スピットの会の皆さまに色々と協力してもらった。個人で集めるのは大変である。参考としたのは以下のもの。
1)AIRCAM AVIATION SERIES No.3 SPITFIRE Mk.l~16 P.20 1.左前方よりの写真
2) PROFILE PUBLICATIONS No.166 SPITFIRE V-SERIES P.8
3) AIRCRAFT ILLUSTRATED (IAN ALLAN) 1971年8月号P.322 2.右後方よりの写真
4) MEDITERRANEAN AIR WAR VOL.1 (IAN ALLAN) 写真No.189
5) 航空情報 1981年8月号 P.92 3.右前方よりの写真
6) SUPERMARINE SPITFIRE (BISON BOOKS) P.30 4.塗装図
7) モデル・アート 1985年11月P.49
8) スーパーイラストレイティッド・シリーズ スピットファイアー P.25
9) Osprey Aircraft of the Aces Series Spitfire MARK V Aces 1941-45
大部分が洋書で占められている。学生のころ遊んだツケがまわってきた様で、苦手な横文字を辞書を引き引き相手にしている次第。
<2002年3月追補:MAYONAKA@Land氏によるもの。>
(10)新版 世界の傑作機 @No25. p45上
(11)モデルアート別冊スピットファイアp50.5
(12)航空ファン1993/6/p116-152 空戦士物語
(13)世界のエース列伝No13 フィガロの写真も多数あり 最初の大写しはAB502/ER170では無い様に思われます。
| グリード中佐 |
1917年7月3日、ロンドンに生まれ、20歳の時空軍に入り、1940年5月、第87スコードロン所属している際、フランス戦線で2日間に5機撃墜を果たしている。後に本国に戻り、バトル・オブ・ブリテンにてさらにスコアを伸ばした。
当時乗っていたのがLK−A(P2798)のハリケーンlであり、猫のフィガロを右側に描くようになった。さらにスピット(SD−A)に乗り換え、後にIR−Aに描き直した最初の機体となった。1943年早々より92・145・417・601と1SAAFの各スコードロンを率いる244ウィング・リーダーとして、中近東方面で活躍した。この頃の乗機がAB502号機とER170号機の2機のIR−Gである。たいていはAB502号機を使用した。ER170号機の写真は未確認。1943年4月16日,}チュニジア戦線にてAB502号機でSM82を攻撃中、JG77のBf109Gにより撃墜され戦死をとげた。彼を撃墜したのは174機撃墜のエース、ライネルト中尉とされている。グリード中佐は戦死までに、14.5機の撃墜戦果を記録した。ちなみに、彼のパーソナル・マーク、猫のフィガロのパネルが、ハリケーンで2個、スピットが1つ,英空軍博物館に現存しているようだ。

| 機体 |
LF Mk.5B型で本国で改造されたタイプとは大幅に違う熱帯地仕様で、エジプトのアボキルで現地改造されたタイプ。このタイプには、形も色々ある。
カウリング下部も、オイルタンク増設のため、出っ張った形をしており、ラジエーターも大型タイプの様だ。翼端も現地改造のクリップド・ウィングで、本国改造の翼端より面積も大きく丸みを帯びている。プロペラはロートル製木製タイプ。
| 製作 |
エアフィックスのキットは以前に述べたように良いプロポーションを持っている。ボークス・フィルター、ラジエーター、キャノピー等2種入っており、同社のハリケーンのパーツを利用すると、少しの改造で各バリエーションができる。基本工作は、ズムバッハの記事を参考にして欲しい。今回は改造点を中心に書いていく。
現地改造のスピットの資料は判らないので、写真を参考に作った。キャノピーは防弾ガラスの内臓されたタイプを使う。胴体とのなじみが悪く、隙間が開くのでプラ版等で埋める。作例では少々実機と違った形になってしまった。キャノピー下の、右側には開閉式インテイクをスジ彫り、左側には突出したインテイクをプラ版で付加工作した。ラジエーターはキットの大型タイプを使う。最大の改造ポイントは、
1) 機首下のふくらみは、キットを元に、0.5mmプラ板で2枚ヒートプレスし、重ねて接着。金属やすり、サンドペーパーで色々な角度の写真を参考に形を整えた。
2) アボキル・フィルターは、いくつか形があるようで、彼の機体は段が無く、あまり張り出しの無いタイプと見うけられる。キットのボークス・フィルターの中間より、後部を利用して、左右上下に1mmプラ板を付け、側面形は写真より、下面からの形は右下にある円形ハッチをよけて下部のパネルにうまくつながるよう、推定を交えて形にしてみた。
3) クリップド・ウィングは、エルロン部から先を多めに残してカットし、やはり写真を見ながら徐々に整形する。削り過ぎに注意。
4) タイヤ、ホィールはカバーの付いた後期タイプで、0.25mm透明プラ板を丸く抜き、中心部にはホイール・ナットが見える位の穴を開け、ナット5個を付ける。まわりには6個のビスと、チューブ・バルブを追加した。
| 塗装 |
ダークアース、ミドルストーン、アズール・ブルー(もしくはライト・メディターラニアン・ブルー?)のスキームB塗装。キャノピー左側には中佐の階級を示す三角ペナント(ブルーの縁付きライトブルーに赤線2本)があり、右側には、アフリカ軍団のマークを壊している猫のフィガロが描かれている。色は、スワスチカが黒縁付き白、ヤシの木が黒、ヤシの葉がグリーン。猫は黒と白で体のまわりから黒線が、右手からは赤い光線?を発している。問題となるのはIR−Gの色で、以前は白縁付き赤と紹介されていた。1)〜5)の左右からの写真(パンクロマティック・フィルムらしく、青は濃く、赤は明るく、黄は白く写る)から国籍マークと同等の色をしている。アズール・ブルーも濃くなっている。6)前方の写真(オーソクロマティック・フィルムらしく、青は明るく、赤は濃く、黄も少し濃くなる)によって、スピンナーは濃く、IR−Gと下面は明るく写っている。同時期に撮った写真のようである。以上のことから、コードレターはブルー、スピンナーは赤と判断した。色具合は一応国籍マークと同色にしたが、5)の航空情報のイラストも同じ解釈と思われる。他に不明なのが、方向舵下部の色で、ミドルストーンより明るくなっているので、他の色かもしれない。作例ではミドルストーンのままにしたが、ご存知の方がいらしたら教えていただきたい。
脚柱、ホイール、タイヤ収納口は下面色。航フ1978年11月号P.94、95のカラー写真が参考になる。
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| 終わりに |
● 終わりに
やっと2機目を終え、ほっとしている。このようなスピット・シリーズを企画した天海(あまがい)真一郎氏やレプリカ誌に感謝している。