
雑誌 モデル・グラフィックス 1985年4月号 特集 SUOMEN
ILMAVOIMIEN LENTOLAIVUE24 BrewstarB-239より転載
(協力:(株)大日本絵画、アートボックス)
| キュレーターから一言 |
雑誌モデル・グラフィックスの特集「フィン空のバッファロー」在中記事の再録です。今から思えば、大変豪勢な執筆陣で、フィンランドと言えばこの人、中山雅洋氏(「北欧空戦史」の著者)へのインタビューから始まり、小林源文氏の劇画(カタヤイネン)、故・石橋謙一氏のカラープロファイル(カタヤイネン、キニーネン、ハッセ.・ウィンド、ユーティライネン機))、作例は72(レベル、アオシマ)を松本州平氏と梅本弘氏が、タミヤ1/48を今井邦孝氏、清水雄一氏(無限軌道の会)と「市丸久」氏が担当されております。当時まだ20代の私はこの「市丸久」氏が一体どなただったのか、などということを全く知らなかった訳ですが、20年以上を経て、「いちまる・ひさし」氏が「イチマル・キュウ」であり、実は石塚昌弘氏のペンネームであったことを初めて知った次第です。

| 空飛ぶ真珠(タイバーン・ヘルミ) |
我が国でバッファローと言えば、第二次大戦における三流機であり、特に太平洋方面では日本機の攻撃を受けて壊滅状態になり、あまり良い評価は受けていない。日本軍パイロットからは、「空飛ぶビヤ樽」という、ありがたくないニックネームをもらっている。
しかし所変われば品変わるとは良く言ったもので、フィンランドでは「空飛ぶ真珠」という美しい名が与えられている。小国フィンランドは、大国ソビエトに立ち向かうため、各国から寄せ集めた様々な機体を有効かつ大事に使ったが、その中でも一番好まれた戦闘機がバッファローであり、それゆえの美しい愛称なのであろう。もしフィンランド人パイロットに、大戦機の中でベスト4を選べ、と言えば、必ずその中にバッファローが入るに違いない。
アメリカより輸入された43機(実際は44機)のバッファローは、1941年6月より1944年頃まで第一線で働き、実に444機の敵機を落とした。これは1機あたり10機以上撃墜していることになるのである。
フィンランド空軍ほど、敵機を含めて様々な国の飛行機を集めた国は無いので、プラモを作る上では楽しみなジャンルである。1/48スケールのバッファローは、タミヤから良いキットがリリースされている。フィンランド空軍で使用されたバッファローは、F2A-1(B-239)タイプで、一方タミヤの方はF2A-2(B-339)タイプなので、そのまま作るわけにはいかない。では注意点とポイントを述べてみよう。

| タミヤのキットをF2A-1(B-239)タイプに改造する |
まず基本ラインであるが、側面形は良いのだが、平面形で主翼取り付け部付近が絞られているのが残念である。しかし上記の点は修正しない方が無難であるため、今回は目をつぶった。改造ポイントは、機首の延長であるが、カウリング部分後方約3ミリの位置よりレザー・ソーでカットし、3ミリ幅のプラ板にて延長し、裏打ちをプラ板で行うと良いだろう。主翼下面パーツの同位置も同様にカットし、延長する。
胴体下面の窓は、パテ等で埋め、内側もプラ板で内部構造らしい物を作っておくと、キャノピーを覗かれても安心だ(最近の資料・写真から、下面に窓が有るこtが判明)。
尾部パーツはNo.30、31を使用しアメリカ海軍型と同形に修正。
カウリングは上面吸入口両側に機銃のふくらみをパイプで作り、パテでなだらかに整形する。
カウリング正面形は下部空気吸入口がもっとオチョボ口になっているので、両側を切断し、1ミリ下に降ろして再接着、後方にスムーズにつながる様にプラ板を接着し、ラインを整える。
スピナーは小型タイプに変更されているので、1/48オオタキ Fw190のスピナー(読者は別に他の物でも構わないが)に手を加えて使用している。プロペラ・ブレードもイギリス製カフス無しタイプなので、キットに手を加えて使用する。
その他胴体のキャノピー後方に左右とも穴を開け、排気管を側面から下部へ移設、尾輪キャンバスをエポキシ・パテで製作し、尾輪カバーをプラ板で追加工作すること。主翼下面の機銃のガス抜き口近くに使途不明のチューブを付ける。主翼機銃はパイプで作り、少し突出して付ける。
キャノピーはイギリス型を使用し、O型の枠は消すこと。防弾板(機体により様々なタイプが有る)には背当てのパッドを、後方にはループ・アンテナを追加。コクピット・パーツはイギリス型に準じて使用する。
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| 平面形。主翼取り付け部付近が絞られている。修正は困難。 | カウリング正面形は下部空気吸入口がもっとオチョボ口。スピナーは小型タイプ。 | 側面形はまずまず。 |
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| プロペラ・ブレードはイギリス製カフス無しタイプ。 | キャノピーもイギリス型。 | 迷彩のブラックはビン生ではなく、様々な色を混色した。 |
| ユーティライネン機の塗装 |
塗装例はフィンランド空軍のトップ・エースである、エイノ・イルマリ・ユーティライネン曹長の機体B-364号機にした。彼は、それぞれFR(フォッカーD-21)で2・1/6機、BW(B-239バッファロー)で34機、MT(Bf109G-2、G-6)で58機撃墜し、計94・1/6機の勝利を得ている。
ユーティライネンはFRに乗っていた時、タイヤバーストに気づかず着陸しようとしてダメージを受けた他、BW-364号においてはただの一発の機銃弾も受けておらず、やっとMTに乗ってから一発の損害を被っただけである。彼の操縦ぶりは想像を超えた水準で、運も良かったのだろうが、大戦を無事生き抜いている。撃墜数は他国のエースに比べて少ないが、世界のトップエースに入れてもおかしくは無いであろう。作例では1943年夏頃、20機撃墜した当時のBW-364号機の塗装を選んでいる。上面はブラックとグリーン、下面はシルバー塗装(今までのようなライトブルーではない)に塗られている。プロペラはブラック、先端はイエロー、カウリング及び胴体帯と主翼端下面1/6はイエローとなっている。機体No.4とスピナーは他のイエローより濃いように見えるので、今回はオレンジ・イエローにしてみた。
撃墜マークは左右とも20本のホワイト・バー、ステップラインもホワイト、国籍マークは直径75センチタイプで、ホワイト地の丸に、ブルーのハカリスティ。第24戦闘機隊エンブレムであるリンクス(山猫)は右側がブラック、左側がブラックとグリーンで、迷彩パターンにかかっている。リンクスのまわりはホワイト、シリアル・ナンバーBW-364は迷彩がグリーンの上の場合はブラックの文字、迷彩がブラック地の場合グリーン文字、胴体の黄帯の上はブラック文字という、面倒な組み合わせになっている。脚柱、カバー、収納部、ホイール等はシルバー塗装である。
フィンランド空軍のブラックは、単に生のブラックそのままではなく、様々な色を少量混色してやると良い色になる。グリーンもクレオス宸T4(カーキグリーン、アメリカ陸軍軍服用)をベースに調色すると良い。シルバー塗装は宸Wシルバーにグレーを入れて色を落ち着かせてみた。
マーキング類は1/48スケールのデカールが無かったので、すべて手描きで行わざるを得なかった。
| 参考資料 |
参考資料としてあげたいのは、値段が張るが(1997年時点で7000円程度、西山洋書価格)、KALEVI KESKINEN著のSUOMEN ILMAVOIMEN LENTOKNEET 1939-72である。フィンランドで使われた様々な機体を知るには良い。バッファローだけについては、同氏他著のBREWSTER MODEL239,SUOMEN ILMAVOIMEN HOSTORA1(Apail oy)が良い。読み物としては、朝日ソノラマ文庫の「北欧空戦史」が参考になることを付け加えておこう。
以下は、がらんどうによる参考資料についての追記です。下記にリンクしている「かさぱのす」さんにご協力いただきました。
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